QT-GenAI ブログ
マルチモーダルAIとは?活用事例と導入時のポイントを解説

「会議の議事録作成に毎週何時間もかかっている」「図面や契約書など、紙やPDFの情報を業務に活かしきれていない」といった業務課題を解決する技術として注目されているのが「マルチモーダルAI」です。従来のAIでは難しかった複数情報の統合分析が可能になり、業務効率化や生産性向上の手段として、幅広い業界で導入が進んでいます。
この記事では、マルチモーダルAIの基本から業種別の活用事例、導入時の注意点、自社に合ったサービスを選ぶポイントまで、AI初心者の方にも分かりやすく解説します。
30秒で読める本記事の要点
- マルチモーダルAIと従来のAI(シングルモーダルAI)の違い
従来のシングルモーダルAIとマルチモーダルAIの違いについて画像を交えて紹介します。 - マルチモーダルAIでできる業務効率化の具体例
マルチモーダルAIは音声の要約、図面解析、契約書ドラフト作成の補助など幅広い業務で活用が進んでいます。 - マルチモーダルAIが利用できるサービスを導入する際のポイント
マルチモーダルAIを導入する際は、「対応データ形式の幅」「セキュリティ・閉域性」「複数AIモデル対応」などを確認することが大切です。
監修者の紹介

株式会社QTnet AI事業部AIシニアスペシャリスト
一般社団法人生成AI活用普及協会(GUGA)協議員
ふくおか電子自治体共同運営協議会DXプロデューサー(生成AI)
佐伯和広
ビジネスの課題を生成AIで解決!
QT-GenAI導入ガイド

1. マルチモーダルAIとは、複数の形式のデータを統合して処理できるAIモデルのこと
マルチモーダルAIとは、テキスト・画像・音声・動画など、複数の形式のデータ(モダリティ)を同時に処理できるAIモデルのことです。
「モダリティ(modality)」とは、情報の種類や形式を指す言葉で、文字・画像・音声などがそれぞれ1つのモダリティにあたります。これらを横断的に扱えることが、マルチモーダルAIの最大の特長です。
マルチモーダルAIの代表例としてChatGPT、Geminiなどが挙げられ、画像をアップロードして質問したり、音声で対話したりできるのも、このマルチモーダル技術によるものです。
2. マルチモーダルAIでできること・活用例
従来のAIは「テキストだけ」「画像だけ」など単一のデータしか扱えませんでしたが、マルチモーダルAIは複数のデータを組み合わせて分析できるため、業務で活用できるシーンが大きく広がります。
例えば、「会議の音声データ」と「配布資料のPDF」を同時に読み込ませることで、発言内容と資料の文脈を紐づけた精度の高い議事録を生成できる、といった使い方が可能になります。
- 会議の音声と配布資料をもとに議事録を生成
- 図面や写真を読み込ませて内容を説明文として出力
- 契約書PDFから必要情報を抽出し、要約を生成
<マルチモーダルAIでできることの例>
3. マルチモーダルAIの仕組み
マルチモーダルAIは、テキストや画像、音声などのデータをAIが理解できる形式に変換し、それぞれの関係性を統合して処理する仕組みです。各データを個別に解析するだけでなく、情報同士の関連性や文脈まで考慮して判断できるため、より人間に近い形で情報を理解できます。
処理は主に下記の3段階で行われます。
■マルチモーダルAIの処理
| 処理手順 | 処理プロセス | 詳細 |
|---|---|---|
| 1 | 入力変換 | 利用可能な生成AIサービス |
| 2 | 統合 | 複数のデータを関連付けて内容を理解する |
| 3 | 出力生成 | 指示に応じて文章や要約、画像などを生成する |
このように、複数の情報を関連付けて処理することで、画像だけ・文章だけでは判断できない内容まで理解し、より精度の高い回答や分析が可能になります。
4. シングルモーダルAIとマルチモーダルAIの違い
シングルモーダルとマルチモーダルは、人工知能(AI)のデータ処理能力において重要な概念です。従来のAIであるシングルモーダルAIは、1種類のデータしか扱えないため、テキストなどを組み合わせて処理するには複数のAIを連携させる必要がありました。
一方、マルチモーダルAIは1つのAIで複数のデータを統合処理できるため、文脈を踏まえた高精度な分析支援や、業務全体を横断した効率化が可能です。
■従来のAI(シングルモーダルAI)とマルチモーダルAIとの違い

4.1. ビジネス現場での使い分け方
ビジネスの現場でシングルモーダルとマルチモーダルのどちらを使うかは、用途や求められる精度によって異なります。「複合的なデータを扱う必要がある場合」や「AIとより自然なやりとりをしたい場合」には、マルチモーダルAIが適しています。
しかし、シンプルなデータを専門的に処理したい場合には、シングルモーダルAIが有用です。
4.2. シングルモーダルAIとマルチモーダルAIのメリット
シングルモーダルAIとマルチモーダルAIは、どちらが優れているというものではなく、用途に応じた使い分けが重要です。それぞれのメリットを整理しておきましょう。
- 処理するデータが1種類のため、動作が軽量で高速
- 特定タスクに特化させやすく、用途が明確な場合に適している(例:テキスト翻訳など)
<シングルモーダルAIのメリット>
- 複数の情報を関連付けて分析できるため、より文脈に沿った判断が可能
- テキスト・画像・音声など多様なデータを1つのAIで扱えるため、業務横断で活用できる
- 人間に近い形で情報を理解できるため、複雑な業務にも対応できる(例:議事録作成、図面解析、契約書のドラフト作成の補助など)
<マルチモーダルAIのメリット>
実際のビジネス現場では、会議の音声と配布資料、契約書の文章と図表、店舗の画像と販売データなど、複数の情報を統合して判断する場面が多くあります。
そのため、業務効率化や生産性向上を目的にAIを導入するなら、マルチモーダルAIの活用が有力な選択肢となります。
5. 業種別・マルチモーダルAIのビジネス活用例

マルチモーダルAIは、複数のデータ形式を統合して分析する能力を活かし、さまざまなビジネス領域で革新をもたらしています。
- 医療・介護・ヘルスケア分野:問診記録や会議の音声などをまとめて整理・要約でき、医師や職員の記録作成にかかる業務負担を軽減
- 流通・小売分野:商品写真からECサイト向けの説明文を自動生成し、商品登録工数を削減
- 製造・建設分野:検査写真・設計図面・仕様書をもとに、報告書作成を効率化。建設業では、紙の作業記録を撮影してテキスト化と内容確認を同時に行うことも可能
- 保険分野:ドライブレコーダーやテレマティクス(車載機器)の映像から、シーンのテキスト化や内容の解説などを支援
- サービス業分野:自治体や観光ビジネスなどのサービス分野では、住民や顧客からの問合せ対応の効率化や品質向上にマルチモーダルAIの活用が進んでいる。多言語・音声対応や問合せ内容の分類もできるため、対応業務負担の軽減が期待できる
※医療・法律などの専門分野では、診断・法的判断といった最終的な意思決定は、必ず医師・弁護士などの有資格者が行う必要があります。
<業種別・マルチモーダルAIのビジネス活用例>
6. マルチモーダルAIを導入するメリット・効果
マルチモーダルAIは、業務効率化や意思決定の高度化に大きな効果をもたらす一方で、導入にあたっては押さえておくべき注意点もあります。ここでは、マルチモーダルAIを導入するメリット・効果を整理します。
- 定型業務の自動化・効率化
- 顧客体験(CX)の向上
- 専門業務の効率化・高度化
<マルチモーダルAIを導入する主なメリット・効果>
6.1. 定型業務の自動化・効率化
マルチモーダルAIを導入すると、会議音声と資料からの議事録自動生成、契約書PDFからの情報抽出など、これまで人が時間をかけていた業務を効率化できます。
6.2. 顧客体験(CX)の向上
カスタマーサポートでマルチモーダルAIを導入すれば、「文章での問合せ」と「添付された画像」を同時に解析し、問合せ対応の品質とスピードが向上します。
6.3. 専門業務の効率化・高度化
マルチモーダルAIは、複数の資料やデータを横断的に分析できるため、これまでAI化が難しかった専門領域にも意思決定を支援するツールとして活用が広がっています。例えば、医療分野では問診内容の整理や要約、記録作成の補助などの事務作業の支援、法律分野では契約書や判例をもとにした情報整理などが可能です。
※医療・法律などの専門分野では、診断・法的判断といった最終的な意思決定は、必ず医師・弁護士などの有資格者が行う必要があります。
7. マルチモーダルAIを導入する際の注意点
マルチモーダルAIは多様なデータを活用できる便利な技術ですが、導入や運用にあたってはいくつか注意点があります。導入前は下記の点も踏まえて、検討するようにしましょう。
7.1. データ処理時間とコストの増加
マルチモーダルAIはテキストだけでなく画像や音声、動画など複数のデータを同時に処理するため、シングルモーダルAIと比べて処理量が増える傾向があります。その結果、処理時間の長期化や利用料金の増加に繋がる場合があり、リアルタイム処理では応答の遅延が発生する可能性もあります。
また、大量のデータを扱うためのシステム環境の整備にはコストや専門知識が必要です。導入時には利用目的を明確にし、必要な性能に応じたモデルや環境を選定しましょう。
7.2. セキュリティ・悪用リスクへの対処
画像や音声、PDFなどのデータには、個人情報や機密情報が含まれているケースもあるため、マルチモーダルAIを利用する際は注意が必要です。利用するAIサービスについて、「入力したデータが学習に利用されるかどうか」「データの保存・管理方法」などを事前に確認する必要があります。
また、音声や映像を模倣するディープフェイクなどの技術が進化していることから、なりすましなどの不正利用への対策も求められています。著作権のある画像や動画、文書などを扱う場合は、権利侵害のリスクにも注意しなければなりません。
安全に活用するためには、セキュリティ対策が整ったAIサービスを選び、社内ルールを整備した上で運用することが大切です。
8. マルチモーダルAIを利用できるサービスを選ぶ際のポイント
マルチモーダルAIを選ぶ際には、いくつかの重要なポイントを考慮する必要があります。
■マルチモーダルAIが利用できるサービスを選ぶ際のポイント
| ポイント | 確認すべき内容 |
|---|---|
| 対応データ形式の幅 | 自社が扱うテキスト・画像・音声・PDFなどのファイル形式に対応しているか |
| セキュリティ・閉域性 | 機密情報を安全に扱える環境(オプトアウト・フィルタリング等)が整っているか |
| 複数AIモデル対応 | 用途に応じてGemini・GPT・Claudeなど複数のAIを使い分けられるか |
| 拡張性(RAG等) | 自社データを参照させて自社固有の回答ができる機能があるか |
| 導入・運用サポート | ガイドライン整備や運用定着までの伴走支援があるか |
これらのポイントを考慮することで、企業は自社に最適なマルチモーダルAIソリューションを選定し、効果的に活用することが可能になります。
9. マルチモーダル対応AIなら、法人向けマルチ生成AIプラットフォーム「QT-GenAI」がおすすめ

マルチモーダルAIは、テキスト・画像・音声など複数のデータを統合処理することで、議事録作成や図面解析、契約書処理など幅広い業務の効率化を実現します。
ただし、業務で安全に活用するには、機密データを外部に出さない「高いセキュリティ環境」と社内ルール策定や利用定着を促す「万全なサポート体制」が必要です。
QTnetが提供する法人向けマルチ生成AIプラットフォーム「QT-GenAI」は、マルチモーダル対応はもちろん、高セキュリティ・充実のサポートを兼ね備えており、企業や自治体へのAI導入におすすめのサービスです。
9.1. マルチモーダル対応
「QT-GenAI」は、GeminiやGPT、Claudeを利用してテキストだけでなく、画像・動画・音声・PDF・Excelなど、多様なファイル形式の入力・解析に対応しています。会議音声からの議事録作成や、図表を含む資料の要約の効率化を実現します。また、商用利用可能な画像生成機能も備え、プレゼン資料等の素材作成や広告アイデア出しなどにも活用可能です。
■マルチモーダルAIのイメージ

9.2. 高度なセキュリティ
「QT-GenAI」は閉域接続やアクセス制限、フィルタリング、NGワード設定などの機能を備えており、企業ごとのセキュリティポリシーに合わせた柔軟な運用が可能です。
- フィルタリング機能:個人情報や独自設定されたNGワードを検知し、不適切な利用を未然に防止
- RAG機能:企業の独自データを安全に生成AIモデルが参照し、企業固有の回答を生成
- 閉域接続対応:自治体向けネットワーク「LGWAN」やQTnetの閉域回線にも対応
- シングルテナント:お客さまごとに環境を構築するシングルテナントでの利用も可能
<「QT-GenAI」の主なセキュリティ機能>
■「QT-GenAI」のセキュアなネットワーク環境の例

9.3. 充実のサポート体制
お客さまのポリシーに合わせた生成AI利用ガイドラインの作成支援や、運用体制のバックアップも行い、導入だけではなく、定着までしっかりとサポートします。
「QT-GenAI」には、ほかにも下記のような特長があります。
1. 複数の生成AIモデルを用途に応じて使い分け
Gemini・GPT・Claudeなど複数のAIモデルを搭載。文書作成・分析・画像生成など業務内容に最適なモデルを選んで利用できます。
2. RAG機能で自社データを安全に活用
社内文書をナレッジベースとして登録することで、ハルシネーションを抑えた業務活用が可能です。入力データはAIの学習に利用されない設計です。
まずは下記からの資料ダウンロード、または「お問合せ」から、QT-GenAIの詳細をご確認ください。
ビジネスの課題を生成AIで解決!
QT-GenAI導入ガイド

監修者の紹介

株式会社QTnet AI事業部 AIシニアスペシャリスト
一般社団法人生成AI活用普及協会(GUGA)協議員
ふくおか電子自治体共同運営協議会 DXプロデューサー(生成AI)
佐伯 和広
2007年QTnet入社。技術部門を経て、20年から新規事業部⾨に所属し、無人店舗の実証やeスポーツ施設の新設などのプロジェクトを担当。23年からAI事業のリーダーとして法人向けマルチ生成AIプラットフォーム「QT-GenAI」のリリースなどAIを活用した新規事業の創出に従事。社外でもAI人材の育成に積極的に取り組むほか、Google主催のイベント登壇や商工会議所でのセミナー講師など生成AIの普及・教育に注力している。
10. よくある質問
QマルチモーダルAIとは?
マルチモーダルAIとは、テキスト・画像・音声・動画など、複数の形式のデータ(モダリティ)を同時に処理できるAIモデルのことです。「モダリティ(modality)」とは、情報の種類や形式を指す言葉で、文字・画像・音声などがそれぞれ1つのモダリティにあたります。これらを横断的に扱えることが、マルチモーダルAIの最大の特長です。
QマルチモーダルAIの活用事例は?
マルチモーダルAIは、テキスト・画像・音声・動画など複数のデータを組み合わせて処理できるため、会議の議事録作成や画像解析、顧客対応の効率化などに活用されています。例えば、医療分野では問診内容の整理や要約、記録作成の補助、法律分野では契約書や判例をもとにした情報整理などが可能です。
Q マルチモーダルAI導入時の注意点は?
マルチモーダルAI導入時の注意点は、「データ処理時間とコストの増加」と「セキュリティ・悪用リスクへの対処」です。
マルチモーダルAIはテキストだけでなく画像や音声、動画など複数のデータを同時に処理するため、シングルモーダルAIと比べて処理量が増える傾向があります。また、読み込むデータには、個人情報や機密情報が含まれているケースもあるため、利用するAIサービスについて、「入力したデータが学習に利用されるかどうか」「データの保存・管理方法」などを事前に確認する必要があります。


